はじめに・・・
「とうもろこし」は数千年の昔から人類の食物として利用されてきた穀物ですが、工業的に発展したコーンインダストリーは、1842年にアメリカで始められた比較的歴史は新しい分野です。その後、急速に成長し、現在では飼料分野に次ぐ「とうもろこし」の大きな用途分野にまで成長しています。
この分野でのとうもろこしの消費量は、全世界の生産量約7億トンのせいぜい数%に過ぎません。しかし、先進国についてみれば、アメリカでは約15%(3600万トン)であり、日本では輸入量(1660万トン)の約20%以上(370万トン)に達しており、コーンインダストリーを有している先進国では消費比率が年々増加傾向にあります。
コーンインダストリーは、ウエットミリングによるコーンスターチの製造及びコーンスターチを原料にした糖化工業と化工でん粉工業とが連結されて1つの工業分野となります。
コーンスターチは、異性化液糖などの糖化原料に大半が利用され、残りは、ビール、水産練り製品などの食品用、段ボール、製紙、繊維などの工業用、医薬用など広い分野に利用されています。
一方、糖化製品の用途は、大部分が食品用で、清涼飲料、乳性飲料、冷菓、菓子、医薬品、調味料、パン、ジャムなど多方面の分野にわたっています。
近年は、低カロリー甘味料、サイクロデキストリンなどの機能性食品素材や生分解性プラスチックなど新規用途を含め、コーンインダストリーの可能性には限りない広がりが期待されています。