1 弊工業会における二酸化炭素排出削減目標の見直し
(1)近年、大気に含まれる二酸化炭素等の温室効果ガスの増加が要因とされる気温の上昇とそれに伴う海面の上昇といった地球温暖化にまつわる事象が国際的な課題となっています。実生活においても夏の猛暑、梅雨時期等の豪雨、台風の上陸回数の増加など気候変動が激しさを増しているように感じられます。
特に、梅雨時期等の豪雨では毎年のように大きな災害が発生するほか、水害、高温、干ばつ等による農作物の不作など、国民の生活を脅かすこともしばしばです。
地球温暖化対策は、国民全員が取り組むべき大きな課題となっています。
(2)このような中、日本は、2021年4月22日の米国主催の気候サミットにおいて、地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの削減目標として、2013年度を基準として2030年度に46%削減することを目指すこと、さらに50%削減に向けて挑戦を続けることを表明しました。
(3)また、国は、2021年10月22日に、地球温暖化対策推進本部において、気候サミットで表明した新たな削減目標を反映したNDC(国が決定する貢献)を決定しました。
そこには、温室効果ガスの種類別の削減目標・目安も設定されており、このうちエネルギー起源二酸化炭素の産業部門における目標・目安は、基準年度である2013年度の排出実績から、2030年度には二酸化炭素排出量として38%削減するという目標が記載されています。
産業界が温室効果ガス削減に果たす役割は大きく、排出削減への挑戦が期待されています。
(資料)地球温暖化対策本部ホームページ
地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)の概要
(4)このような国の取組を踏まえ、これまでの弊工業会の二酸化炭素排出削減目標の基準年度及び目標指標を新たな国の目標に沿うよう、弊工業会では、令和4年3月に2030年度二酸化炭素排出削減目標の見直しを行いました。
<新たな2030年度二酸化炭素排出削減目標>
基準年度:2013年度(国に同じ)
目標指標:二酸化炭素排出量(国に同じ)
2030年度二酸化炭素排出量目標:80.0万t-CO₂
2030年度二酸化炭素排出削減目標:基準年度に比べ30.3%削減
2 弊工業会における二酸化炭素排出削減の取組
(1)弊工業会における二酸化炭素排出削減の取組については、2006年度(平成18年度)に「環境自主行動計画」として、地球温暖化の原因とされている温室効果ガスのうち二酸化炭素について排出削減目標を設定し、目標実現に向けた取組を開始しました。
なお、「環境自主行動計画」は、2013年度(平成25年度)に「低炭素社会実行計画」に移行されています。
※「低炭素社会実行計画」とは
CO₂の排出削減を目的とした、日本の産業界による地球温暖化対策の自主的取組です。低炭素社会実行計画では、国内での事業活動に伴い排出されるCO₂の量を削減するために、利用可能な最善の技術を最大限導入することを目指すほか、積極的な省エネ努力の実施や再生可能エネルギーの導入などを進めています。また、製品やサービスの製造段階だけでなく、使用や廃棄の段階も含むバリューチェーン全体を通じたCO₂排出削減にも取り組んでいます。こうした低炭素製品・サービスを国際的に普及・展開することで地球規模でのCO₂排出削減に貢献しています。さらに、革新的技術開発を進めることで長期的なCO₂排出削減への貢献も目指しています。
(2)会員企業は、目標の実現に向けて、省エネ対策の実施や使用燃料を二酸化炭素の排出量の少ない種類の燃料へ転換するなどの取組によって二酸化炭素の排出削減を図って参りましたが、これにより、2020年度(令和2年度)の実績において、基準年度と比較した二酸化炭素排出原単位の10%削減を達成し、目標を上回る成果が得られました。
<見直し前の日本スターチ・糖化工業会の二酸化炭素排出削減目標>
基準年度:2005年度(平成17年度)
目標指標:二酸化炭素排出原単位
※二酸化炭素排出量を活動量で除した値であり、弊工業会では活動量を
❝とうもろこし処理量❞と規定しています。
2020年度二酸化炭素排出原単位削減目標:3%削減
2030年度二酸化炭素排出原単位削減目標:5%削減